オンライの発表の場合、発表者自身が使っているパソコンに映っている様子と、ネットワークを経由して届く参加者のパソコンの画面に表示される発表の様子に違いが生じる。
発表者の声や身ぶり手ぶりはワンテンポ遅れて届き、相手に聞こえる声は発表者が聞いているほど明瞭ではない。また一般的に発表者のパソコンの画面では自身の顔がくっきり映っていても、相手のパソコンにはそこまで明瞭に映らない。
パソコンで行うインターネットを介したやりとりはテレビ中継のようにはいかない。精細な映像と音声がリアルタイムで伝わるわけではないのだ。
発表用のパソコンの表示と参加者のパソコンの表示の違いを一度、確認しておくと良い。またリハーサルを行うときにも参加者にどう映るかをチェックしておこう。
この原稿では代表的なオンラインサービスとしてZoomで説明するが、Microsoft Teamsなどの他のサービスも同種の機能があるので、必要に応じてホームページで調べて頂ければと思う。
■リハーサルの様子をモニタする
Zoomはアカウントを登録すれば無料プランで、1対1のやりとりが可能だ。このとき使うことのできる時間の制限はない。
この機能を使ってリハーサルの様子を発表者自らモニタすることができる。方法は、次のとおり。
(1)発表用のパソコンの隣にもう一台のパソコンのディスプレイを並べておく
(2)Zoomのホストとなってオンラインミーティングを開催する
具体的にはミーティングの時刻を設定し、ミーティングのURLを取得しておき、発表用のパソコンでミーティングを開始する。
(3)先ほど用意したもう一台のパソコンで取得したミーティングのURLを使って会議に参加する
このときモニタ用のパソコンではURLだけわかればメールアドレス等の入力は必要ない(URLはあらかじめメールで送っておくか、メモ帳などファイルの共有でコピーまたはクリックできるようにしておくと入力する必要がないので便利だ)。
こうして発表用のパソコンを使って話すと、すぐ隣のパソコンの画面で参加者が見る映像を見ることできる。
動作がワンテンポ遅れる様子や、発表用のパソコンの映像とモニタ用の映像の映り具合の違いが確認できるであろう。
Zoomの無料プランでは3人以上でも40分間までならば利用できる。協力してくれる人がいるならば、その人(あるいはその人たち)にも見てもらうことができる。40分間あれば、発表時間としては十分。残った時間で感想や気づいたことなどを、Zoomをつないだまま、相手とやりとりできる。
もしやりとりが長引いて、40分を過ぎてしまったら、終了次第、新たにミーティングを開催すれば、わずかな中断で再開が可能だ。
ディスプレイを二台並べて確認する
「steheap – stock.adobe.com」
■リハーサルの様子を録画してチェックする
有料プランになるが、Zoomには録画機能がある。発表の様子を録画しておけば、自分のパソコン(ローカル保存)、またはZoomのサーバー(クラウド保存)に映像ファイルとして録画できる。
有料といっても、最も安価なProプランで月払いにして一ヶ月2,000円(原稿執筆時の2020年11月時点)。
このプランならば、参加人数は100人まで、時間は無制限に使うことができる。ちなみに料金は米ドルで決済することも可能で、ドルによる支払いのほうが安いこともある。
録画したファイルは、終了次第利用でき、パソコンで再生すれば、自分の発表の様子を参加者の視点で確認できる。発表の様子を録画した映像を見ながら、発表資料が共有される様子を確認したり、映像と声のトーンをチェックしたりしよう。
映像を見て「もう少し上を向こう」「もっと明るい声にしたほうがよい」「メリハリのある話し方をするようにしよう」「このスライドの表現はわかりにくい」「ここはもう少し説明した方が良い」など、気になる点があれば改善する。
なお、Zoomの有料プランは月払いを選んでも自動継続となるので、有料プランの機能が不要になったら解約手続きを忘れずに。更新日前に解約しても、更新期限までは有料プランの機能を使うことができる(原稿執筆時の2020年11月時点)。