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第4回 図を描く(その1)-[shift]キーを使いこなす

第4回 図を描く(その1)-[shift]キーを使いこなす published on

複雑な内容も,図を使って説明すると,すぐに伝わることがあります.時間の限られている発表で,図を使えば効率よく理解してもらうことができます.
今回から数回にわたって,短時間で,みばえのよい図の作り方を取り上げます.第一回目は,[shift]キーを使ったテクニックを取り上げます.

  • 水平線,垂直線を描く
    何本か線を引くときに,方向を統一しておくと,すっきりきれいに見せることができます.  方向を統一するときには,[shift]キーを使います.直線や矢印を描くとき,[shift]キーを押しながら描くと,一定の角度しか線をひくことができません.この方法を使えば,いくつもの水平線や垂直線を手早く描くことができます.
    図1
  • 引出し線は整理して使う
    写真やイラストで引出し線を使うとき,[shift]キーを使って,水平線と垂直線だけを使うようにすれば,センス良く見せることができます.
    図2
  • 正方形,正円を描く
    正方形や正円といった縦横比が同一の図を描くとき,[shift]キーを使うと効率よく描くことができます.[shift]キーを押すことによって,長方形を描く機能は正方形を描く機能へ,楕円を描く機能は正円を描く機能へと変わります.
    さらに,いったん描いた正方形や正円の形の大きさを調整するとき,[shift]キーを押しながら拡大や縮小を行えば(四隅のハンドルをドラッグすれば),縦横比を同一にしたまま,大きさを変えることができます.
    図3
    また図を移動する場合,[shift]キーを押すと,水平・垂直方向にしか移動できなくなるので,位置を整えるときに便利です.

第3回 スライドの枚数は時間で決める

第3回 スライドの枚数は時間で決める published on

発表用の資料を作るときに,スライドの枚数は,どのように決めていますか.
「一枚ずつ言っておきたいことを入れて作っていったら,この枚数になった」
そう答える人は少なくありません.発表で言っておきたいことをすべて盛り込んだ結果としての枚数ということですが,このやり方では,発表時間で説明が全部収まらなかったということになりかねません.

■発表時間から枚数を考えてみる
スライドの枚数は伝えておきたい内容ではなく,発表時間から考えるようにしましょう.短い時間の発表ならば,一枚のスライドは30秒から1分間.少し時間がある発表の場合ならば,一枚,2分間から,どれほど長くても4分間程度までにしておきます.短時間でスライドを切り替えれば,理解が未消化になったり,せわしない印象を与えたりする一方で,同じスライドをあまり長い時間見せられれば,視覚的に飽きてしまい,内容への関心も低下してしまいます.
もちろん,ちょっと見せればよいだけのスライド,たとえば表紙や目次であれば,もっと短くてもいいですし,ムービーを使ったものであれば長くても大丈夫です.

■「このスライドでは,このことについて理解してもらう」をはっきりと
短時間で,内容を確実に伝えるには,一枚一枚のスライドで,何を伝えるかをはっきりさせておく必要があります.たとえば1分間で説明するスライドであれば,その1分間という時間を使って説明し,1分後に何が伝わっていればよいかを明確にしておきます.
スライドで理解してもらいたいことが決まったら,そのために必要不可欠な情報が何かを考えます.このときのポイントは本当に必要なものだけに絞ることです.関連があるからといって,あれもこれもと入れていけば,盛りだくさんとなり,限られた時間で内容を理解することができなくなってしまいます.
思い切って余計なものを捨て去ったら,より理解しやすい見せ方を検討し,表現を決めてゆきます.

第2回 発表用スライドの変遷を語る

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第2回は発表用スライドの変遷について取り上げます.(本稿は『驚くほど相手に伝わる学会発表の技術』の「発表用スライドの変遷と本書の位置づけ」を抄録しました)

まず,パソコンの代表的なプレゼンテーションソフトであるPowerPointが1987年,Aldus Persuasionが翌1988年に米国でリリースされ,パソコンを活用したスライドによる発表が本格的にスタートした.

・導入期
米国に出張した医師がプレゼンテーションソフトで作成された35ミリフィルムによる発表を目にして国内に導入した.併行してほぼ同時期に外資系企業の日本法人がプロジェクタを使った発表にプレゼンテーションソフトで作成された資料を使用していた.

・普及期
90年代後半に職場や家庭にパソコンが急速に普及し,プレゼンテーションソフトも広まっていく.さらにカラープリンタやプロジェクタの普及で,カラーの資料も珍しくなくなっていったが,その一方で,けばけばしい色づかいや「またあれか」と思わせる使い古されたデザイン,意味のないアニメーションがしばしば使われ,どのような資料を作ったらよいのか答をさがす模索と混乱が続けられた.

・デザイン期
混乱にピリオドを打ったのはアップルのスティーブ・ジョブズによるプレゼンテーションだった.洗練されたデザインと自信にあふれる姿は多くの人に大きなインパクトを与え,さまざまな分野で真似しようという人が現れた.一般の人にもデザインの重要性が改めて認識された.
しかしながら,実際に真似して説明してみると期待したような成果が得られない.あらためて考えてみると,スティーブ・ジョブズが行うプレゼテーションは,構想や新ビジネスや新商品を説明する場で,革新的な内容,説明スタイル,受け入れる聴衆が揃って成り立つものだということに気づき,スタイルだけまねてみてもうまくいかないということがはっきりしていった.
現在 ,デザインの重要性を踏まえながら,演出過剰にならないで伝えるべき内容をきちんと伝えるためにはどうすべきかが課題となっている.

『驚くほど相手に伝わる学会発表の技術』は,その答を提示しようとしてまとめたものである.

発表用スライドの変遷

第1回 フローチャートのテンプレート,ダウンロードできます

第1回 フローチャートのテンプレート,ダウンロードできます published on

皆さん,こんにちは.飯田英明です.この4月に中山書店さんより『驚くほど相手に伝わる学会発表の技術』という本を上梓しました. ふだんは企業や行政向けに,資料作成やパワーポイントのスライドのデザイン,プレゼンや発表の方法の研修,コンサルティングをしております. 『学会発表の技術』を出版したところ,読者のかたから「116ページのパワーポイントのフローチャートのひな形がホームページからダウンロードできればいいのに」というご要望を頂き,今回,対応しようということになりました.
出版元の中山書店のホームページを使って,テンプレートだけでなく,どうせなら本にする際に紙面の都合で取り上げることのできなかったネタや,その後の成果,関連の新しい情報などを公開していこうと思います.本をお買い上げ頂いた方だけでなく,どなたでもアクセス,ダウンロードできるようにしてあります.このページを見て,興味をもたれたかた,ぜひ『驚くほど相手に伝わる学会発表の技術』を手に取って頂けると幸いです.

これから,ときどき情報を掲載していきますので,ぜひチェックしてください.質問やご要望等も受け付けますので,それらがあれば中山書店まで電子メールでお尋ねください.お返事は約束できませんが,この場所も含め,できるだけお応えしていくつもりです.

飯田英明

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