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第16回 図解-ここを直せばもっとよくなる 1

第16回 図解-ここを直せばもっとよくなる 1 published on

複数の項目を枠で囲み、順番に並べて矢印で結んだフロー図を見直す。

なんとなくパッとしない

どうしてパッとしないのか
    1. 枠内の表現が冗長で説明口調になっている
    2. 枠の大きさがバラバラ
    3. 配置に統一感がない
    4. 赤を使用している部分が多すぎる、必要以上に赤字に下線を引いて強調しすぎてる
改善してみた

ここがポイント

1.シンプルな表現にする

図解の効用はひと目見て言いたいことが理解できることにある。この特徴を生かすには、文字を枠で囲んだり、矢印で結んだりするだけでなく、使われている文字による表現をシンプルにすることが必要だ。説明口調の表現や冗長な表現があれば見直してシンプルな表現にする。シンプルにすることで余白を取ることができ、読み取りやすくなる。
また文を「見出し+内容」に分けられるのであれば下のように見出しを共通の視覚的なポイントとして表現する。

2.枠の大きさを揃える

同じ位置づけの枠は文字列の長短の違いに関わらず大きさを統一しておく。同じデザインパターンを繰り返すことでリズム感が生まれ、読み進みやすくなる。文字列を枠で囲むのではなく、枠があって、その中に文字列を入れていると作成するとよい。

[操作]枠の大きさを統一する
[図形の書式]タブの[サイズ]で図形の[高さ]と[幅]を数値で指定する。

いったん作った図形の大きさを揃える場合は、数値で指定することができる。しかし、ゼロから作るのであれば、次の方法のほうがよい。

[操作]ひな形をひとつ作って複製する
使い回し可能な図解の一部分を作成し、必要な数だけ複製する。複製したら 配置を整え、順に文字を入れ替えて、必要に応じて色を変える。
このとき最初に作る図解の一部は、文字列の最も長いもの、高さの高いものにする。それ以外をひな形とすれば、複製し、文字を入れ替えたときに枠をはみ出してしまい、最初から作り直すことになるからである。
複製する場合には、必要な図をすべて選択して[コピー][貼り付け]を使うか、[Ctrl]+D で複製する。

3.図形の配置を整える

図形の端(あるいは中央)を目に見えない線に揃えるとすっきりきれいに見せることができる。繰り返し要素の端(あるいは中央)を揃えて等間隔に配置する。

[操作]離れた図形の端や中央を揃える、等間隔に配置する
離れた図形の端や中央を揃えるには図形をすべて選択して[図形の書式]タブの[配置]をクリックし、表示される[オブジェクトの位置]の[配置]から揃え方を選択する。 図形を等間隔に配置するには図形すべて選択して[図形の書式]タブの[配置]をクリックし、表示される[オブジェクトの位置]の[整列]から整列の仕方を選択する。

4.強調部分を必要以上に目立たせない

一枚のスライドの中に赤や黄色が多数存在すると、どこが重要かがわからなくなってしまう。また文字を赤くし、アンダーラインを引くと、互いの強調手段がけんかをし、ごちゃごちゃしたイメージになってしまい、効果を上げることができない。
目を引く鮮やかな赤や黄色は、ほんとうに重要な部分だけに使うようにする。重要というのは部分部分の範囲の中での重要ではなく、説明に使うすべてのスライドの中で重要であるか、あるいは一枚のスライドで特別に重要な部分である。


この記事は4月1日刊行された「学会スライド図解の技術〜グラフと表効果的な見せ方・作り方〜」の内容の一部を再編集したものである。

第15回 表を見直す

第15回 表を見直す published on

表はデータを整理し、表現するために使われる。グラフに比べて詳細な数値を正確に表現でき、また数値を体系的に提示できるので、それ以外のデータも扱う。

こう表現する

ここを変える

表を作り上げていく手順
  1. 文字を読みやすいものにする
  2. 見出しを上下左右中央に配置する
  3. 見出し以外の文字を左寄せ上下中央に、数値を右寄せ上下中央に配置する
  4. 行間を整える
  5. セル内の余白を広げる
  6. セルの高さと幅を整える
  7. セルの色を変える
  8. セルの区切り線を太くする

(Excelでは行間はセルの高さによって決まるため調整できないPowerPointでは可能)


この記事は4月1日刊行される「学会スライド図解の技術〜グラフと表効果的な見せ方・作り方〜」の内容の一部を再編集したものである。

第14回 棒グラフを見直す

第14回 棒グラフを見直す published on

グラフは数値をビジュアル化する代表的な表現方法である。
グラフより表のほうが詳細な数値を正確に表現できるが、グラフは数値が持つ本質的な特徴や傾向などを容易に伝えられる。ただし、適切に表現されていないグラフは意図した内容が伝わらないだけでなく、事実と異なっている印象を与える場合がある。
グラフを生かすためには、適切な種類を選び、数値が持つ特徴を理解して適切に表現する必要がある。

グラフ作成のポイント
  1. 伝えるメッセージを明確にする
    グラフを使って何を伝えるかを明確にする。そしてひとつのグラフで伝えるメッセージはひとつに絞る。
  2. ふさわしい種類を選ぶ
    グラフにはさまざまな種類があって、それぞれの特徴は異なっている。目的に応じたふさわしい種類のグラフを選択する。
  3. 初期設定を見直す
    文字の読みやすいフォントとサイズにし、派手すぎないで品よく注目を引く表現にする。信頼性を損なわないように数値を含むファクトを必要な範囲で提示する。
  4. 各要素の記述を加える
    単位を忘れずに記述し、補足事項がある場合にはもれなく示し、出典や調査に関する情報などを記載しておく。
棒グラフを見直す

棒グラフはデータを比較するために使われる。棒の長さを比較することで数値の大小の違いを感覚的に理解できる。
棒グラフを見るときには、ひとつひとつの棒の長さを個別に読み取るのではなく、グラフ全体を見て、どの棒が長く、どの棒が短いかを確認している。
基点は原則として0である必要がある。

こう表現する

ここを変える


この記事は4月1日刊行される「学会スライド図解の技術〜グラフと表効果的な見せ方・作り方〜」の内容の一部を再編集したものである。

第13回「学会スライド図解の技術」はじめに、本書の考え方 公開

第13回「学会スライド図解の技術」はじめに、本書の考え方 公開 published on

「学会スライド図解の技術〜グラフと表効果的な見せ方・作り方〜」が4月1日に刊行される。
これは「はじめに」と「本書の考え方」の公開である。

はじめに

「わかりやすい表現をしたい」「相手の目をひくスライドを作りたい」
発表スライドを作るときにこうした気持ちになることは少なくない。
しかしいざスライドを作ろうとすると、どう表現したらいいのか思いつかなかったり、作ったスライドが「見づらい、伝わらない」ものになったりして、「自分にはセンスがない」「デザインのことはよくわからない」と悩んでいたり、諦めたりしていることも、また珍しくない。

本書は、センスがなくても、わかりやすく相手の目をひくスライドを作る方法を平易なことばと事例を使って解説する。

    説明はつぎの方針に基つづく。

  1. わかりやすい表現と、その背景を理解できる
    すばらしい例を見せられても自分のスライドにどう応用していいのかわからない。そうしたことがないように改善事例とそこに至るプロセスを示し、スライドの表現と、それを作っていく考え方と手順を理解できるようにする。
  2. 作成プロセスとPowerPointの機能と操作を解説する
    どのような表現をしたらよいかがわかっても、それだけではスライドを作ることはできない。作成していく過程とそこで必要なPowerPointの機能と操作を実際の画面を使って解説する。
  3. 多くのデザインパターンや色を取り上げる
    スライド作成では参考にできるものが多いほうがよい。作成のヒントとなるさまざまなデザインや色を使った事例を取り上げる。

本書は私の医学系の書籍として『驚くほど相手に伝わる学会発表の技術』(中山書店)に継いで、二作目となる。前作同様、多くの方に受け入れられ、役に立つことができれば幸いである。

最後に本書の企画・制作にご支援いただいた中山書店のみなさん、前著に続いて執筆した原稿をすばらしいデザイン・レイアウトに作り上げていただいた公和図書のみなさん、そして檮木治先生に感謝する。

本書の考え方

対象

スライド作りを始めたばかりの人から、ひととおり作成できるがそこからさらにステップアップしたいと思っていたり、まずまずのスライドを作っているのに思うような結果につながらないと感じていたりする人までを対象とする。

考えを「かたち」にして表現する

スライド作りにあたって陥りがちな問題を取り上げて、なんとなくパッとしない表現がなぜそうなってしまうのかを解明し、どこをどう変えていったら、すぐれたスライドになるのかを説明する。
スライド作成は、かっこよいデザインを作ることが最終目標ではない。かっこよいものは見た瞬間には目をひくかもしれないが、それは本来の目的ではない。本来の目的はきちんと内容を伝えることであり、専門的な内容を相手と共有するために、専門性への信頼を損なわないでわかりやすく伝えることにある。そこでは過剰な装飾で見た目をよくすることではなく、何を理解したらよいのかという内容の価値を正しく表現し伝えることが重要となる。
こうしたことから、見せ方にとどまらず、表現するときの考え方や、考えをどう「かたち」にして見せるかというところまで踏み込んで解説する。

グラフ、表を中心にしてスライドのビジュアル化全般を取り扱う

見やすい表現を苦手としている人が多いグラフ、表を中心にする。それらに加えて表現の統一ルール、文字、図解、写真、アイコン(ピクトぐラム)の使い方と、完成前の見直しの方法まで一貫してスライド作成に必要な内容を取り上げる。

操作方法を解説する

取り上げている事例を実際にスライドで使うことができるようにPowerPoint(Windows/Mac)の操作手順を取り上げる。

オンライン発表、ユニバーサルデザインへ対応する

一般化したオンライン発表への対応、ユニバーサルデザインの考え方と取り入れる方法についても取り上げる。