小児科医がやさしくレクチャー 病気や医療の専門知識もコンパクトに解説

教育医事新聞 2010年9月25日より

小児保健の基礎知識をコンパクトに解説した「小児保健」(中山書店・2205円)が発行された。編著者は渡辺博・帝京大学医学部附属溝口病院小児科教授。
「本書は、私が上智社会福祉専門学校保育士科で行ってきた最近の講義録をもとにまとめたもの。小児保健を学ぶ人たちのテキストとして、授業で講義と併用しながら使いやすいように、あえて箇条書き形式をとり、簡潔な表現にしました」と同教授は話す。

同教授が小児科医であることから、専門医でしか教えられない病気や医療の知識もわかりやすく盛り込まれている。
「保育や児童教育関係を学ぶ教育現場では、看護学校などに比べ、どうしても小児の病気について接する機会が多くありません。学校で教えているうちに、学生たちも小児保健の重要な一部である病気や医療の専門知識を求めていることがわかりました」

取り上げられている内容は小児保健とは何かに始まり、発育・運動・栄養・遺伝・感染症・予防接種・アレルギー・障害・虐待など。小児保健に関する法律や地域の施設についても紹介している。さらに、重要な項目、必ず押さえておきたいことには、赤い二重丸の印が付けられていて一目瞭然。専門用語の解説や最新知見・情報を板書風に説いた「ミニレクチャー」の欄も随所に掲載。初めて小児保健を学ぶ読者には実に親切な構成だ。

また、乳児死亡率や発育パーセンタイルなどのグラフはもとより、誤飲などの事故への対処法、人工呼吸・心臓マッサージの具体的な方法などもシンプルなイラストつきで理解が深まるよう工夫されている。
「学生だけでなく、小児に関わるあらゆる職業の方々に、広く活用していただければ嬉しいです」