産科救急に対応するための必読書が登場!

産科と婦人科 Vol.88 No.10(2021年10月号)「書評」より

評者:三浦清徳(長崎大学産科婦人科教授)

このほど中山書店から,『産科救急マニュアル』が発刊された.
本書は,我が国の産科医療のトップリーダーである藤井知行先生と永松健先生が監修,編集を担当し,いずれの項目も第一線のスペシャリストが執筆を担当している.本書の内容は3つの側面から構成され,産科救急に対応するための必修知識から,いわゆる「ガイドライン」に記載されている標準治療を補完する最新知識まで盛り込まれている.それぞれ,1章の基本手技編では産科救急の現場で共通言語となるバイタルサイン・検査・救急蘇生の基礎知識について,2章の症候編では産科救急で遭遇することが想定される臨床所見への対応について,3章の疾患編では妊産婦の救急疾患への対応について記載されている.よって,本書を最初から最後まで通読すると,産科救急の基礎から最新知識まで体系的に理解し,突然の母体・胎児の急変に遭遇しても最善の診療を行いうる知識が自然と身につくようになっている.
これからの産婦人科医療を担う若手医師については当然のこと,すでに最前線で活躍されている指導医にとっても,日々の産科救急医療の向上に役立つ一冊である.“Hope for the best and prepare for the worst”ということわざもある.ぜひ,母児の健康を願う(hope)多くの医師にご一読いただきたい医学書(prepare)として推薦したい.