中田 諭(日本看護協会 看護研修学校 認定看護師教育課程 集中ケア学科)

患者のアセスメントに必要な指標や検査値が,急性期,慢性期,内科,外科を問わず網羅されていて,タイトルどおり実践にすぐに役立つポケットガイドである.
患者の症状や検査データをどのように解釈したらいいか?基準値はいくつだったのか?などというベッドサイドでの疑問は誰もがもった経験があるだろう.そんなときにポケットに忍ばしておきたいのが本書である.
適切な看護ケアは,正確な情報収集と的確なアセスメントによって支えられている.
最近はモバイルの端末に情報を記憶させたり,計算させたりするツールも作成されているが,実際には端末を持っていることに安心し,実際の活用に至らないケースも多々みられる.
結局,立返るのは,新人のときから書き写したメモ書きや落書きのあるポケットノートだったりする.意外に書物のように形のあるものは,何度か使っていくうち,どこにどのようなものが書かれているかが自然にわかるようになり,効率よく安心して使えるようになるものである.
本書はさまざまな指標や検査値がわかりやすく分類・整理して書かれているだけでなく,余白にメモ書きスペースがつくられており,ここに指標や検査に関連する項目を自分で書き加えてオリジナルのポケットガイドにすることも可能だ.
また,単に指標と検査値が紹介されているのではなく,理解しておくべき重要な用語や数字の意味について解説がされており,アセスメントの理解を実践の現場で深めるためにも役立つ内容となっている.
本書の体裁は実践の現場で使いやすいよう,白衣のポケットに入れてもかさばらないサイズでつくられ,汚れないようビニールのカバーがかけられている.
ひとりでも多くの意欲ある看護師がポケットに忍ばし,使い古してほしい一冊である.