テーマ:人間科学における「二人称的アプローチ」
日程
日時:2016年10月29日(土) 13:00~16:15
場所:神田学士会館・大ホール
〒101-8459 東京都千代田区神田錦町3-28
アクセス
参加費無料:先着150名様(10/25(火)締切)
応募は締切致しました。
プログラム
13:00 挨拶
13:08 基調講演
(乳幼児発達心理学 University of Portsmouth 教授)
(概要)乳幼児はどのように人の心を理解するのか?――この謎を解く鍵としてレディ教授は「二人称的アプローチ(second-person approach)」を提唱し、そこから、乳幼児が生後数ヶ月で(原初的には生まれた直後から)、他者の多様な心がわかっており、それらにきわめて「人間的な」応答をしているという、従来の心理学研究では描かれてこなかった驚くべき心の世界を明らかにする。
14:10 ミニ・レクチャー(1)
14:45 ミニ・レクチャー(2)
15:30 ディスカッション・総括
松沢哲郎
下條信輔
佐伯胖(司会)
人間科学における“二人称的アプローチ”のテーマ趣意書
M. Polanyiは著書『個人的知識』(Personal Knowledge)の「緒言」で、近代科学が科学の理想として掲げた「対象との非関与(detachment)」を次の一句で否定してる:“I start by rejecting the ideal of scientific detachment.”
一方、発達心理学者のVasudevi Reddyは、著書”How Infants Know Minds” (Harvard University Press, 2008) で、自ら赤ちゃんを出産して我が子とかかわって驚いたという。これまでの発達心理学のテキストでは生後3~4ヶ月までは他人とはかかわりがもてない、4~5歳までは他者の心を自分の心と区別して理解できないとされてきたが、実際の赤ちゃんとかかわってみると、1歳未満でもこちらの心を見透かして、おもしろがらせたり、ふざけたり、期待をもたせて裏切ったりと、実に多様に、ひとの心を理解どころか「もてあそんで」くれる。どうしてこういう現実を発達心理学が無視してきたのかを考えたとき、従来の発達心理学、むしろ、心理学全般が、対象を「三人称的」に観察したり、実験的に操作したりしてきたことが根本原因であるとわかり、あらためて、二人称的にかかわる「二人称的アプローチ」を提唱する。
この「二人称的アプローチ」こそ、対象との非関与(detachment)を否定して、対象に入り込む二人称的かかわり(engagement)による知(Polanyiの「個人的知識」に対応)の展開であろう。
Reddyが述べているとおり、「二人称的アプローチ」は乳幼児の発達研究にとどまず,教育一般,さらには介護・看護,医療臨床などにも,広がりをもつべき考え方であるとみることができる。また,最近は「二人称的かかわり」が実際に私たちの脳にどのような変化をもたらしているかについての研究も出てきており,「二人称科学」という新しい科学が生まれつつある。
財団25周年を記念して、この「二人称的アプローチ」を人間科学への新しい観点として位置づけ、発達心理学にとどまらず、他の人間科学への広がりを展望するシンポジウム:人間科学における「二人称的アプローチ」を企画した。
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問合せ先
公益財団法人中山人間科学振興財団 「創立25周年記念シンポジウム」事務局