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DSM-5を読み解く 双極性障害および関連障害群,抑うつ障害群,睡眠-覚醒障害群

DSM-5を読み解く 双極性障害および関連障害群,抑うつ障害群,睡眠-覚醒障害群 published on

sourcebookに代わるものとして十分その役目を果たしている

臨床精神医学 Vol.44 No.8(2015年8月号) 書評より

書評者:上島国利(国際医療福祉大学)

本書は「DSM-5を読み解く」シリーズの第3巻であり,I双極性障害および関連障害群,II抑うつ障害群,III睡眠一覚醒障害群の3部により構成されている。
本書の目的は,さまざまな批判をあびながら世界の精神医学界を席巻しているDSM診断体系の成り立ちを伝統的な精神医学の歴史を俯瞰しつつ解説し,それらがDSM-5の成立や今後のよりよい応用に寄与することである。 DSM-IVについては,「The DSM IV Sourcebook」に,改訂作業でどのような論文が参照され,いかなる議論がなされたか記載されているが,DSM-5については,そのような書籍は今のところ発刊されていない。この状況下にあっては,本書は,sourcebookに代わるものとして十分その役目を果たしていると思われる。
まず注目されるのは,従来DSM-III以降われわれが慣れ親しんだ感情障害,気分障害の呼称がなくなり,それらに包括されていた単極性うつ病,双極性障害が分離されて別個に章立てされたという点である。クレペリンにより体系化された躁うつ病が,レオンハルトにより単極性障害と双極性障害に分離されたが,これらはあくまで気分障害の枠内の分離であった。ところがDSM-5では,「双極性障害および関連障害群」は,「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」と「抑うつ障害群」の章との間に位置づけられて2つの群の間の橋渡しをする位置にあるとされた。症候論,家族歴,遺伝的観点などが考慮された結果であろうが,DSM-IIへの回帰との指摘もあり,今後この章立ての妥当性についての議論がなされるものと思われる。

I双極性障害および関連障害群
双極性障害概念の拡大に伴う過小診断から過剰診断が危惧されたのが,ここ数年の傾向であったが,DSM-5では,小児期に重篤な気分調整障害を呈する障害が「重篤気分調節症」として抑うつ障害群に加えられた。また双極性エピソードの罹病回数の短縮もなされなかったことは過剰診断抑制策の1つとして考えられる。
また臨床では診断基準どおりの症例は極めて稀であった混合性エピソードは廃止され,「混合性の特徴を件う」という特定用語を用いることになっている。特定用語の活用は病状のより精緻な特徴を明らかにするためにDSM-5の随所で用いられるべきと思われる。

II抑うつ障害群
新たに加わった障害は,重篤気分調節症,持続性抑うつ障害(気分変調症),月経前不快気分障害でありそれぞれ歴史と導入の理由が記載されている。
DSM-IVの抑うつエピソードの診断基準から死別反応除外基準が削除され,死別後でも2週間の持続で診断可能となった。この除外基準の削除に関しては多くの批判があり,今後も論争が続くことも予想される。

III睡眠―覚醒障害群
ナルコレプシーの診断基準で髄液中オレキシン値,終夜睡眠ポリグラフ検査所見,MSLTの客観的検査データが基準の1つとなっているが,他の障害に先がけて生物学的マーカーが採用されたことは画期的なことであり,他の障害も次第に生物学的基準が明らかになっていくことと思われる。

以上DSM-5を読み解くという観点からの論点のいくつかについて紹介した。
DSM-IVまでのDSM体系分類は症状の羅列やその組み合わせから一定数以上の項目を満たす症候群を分離した操作的診断基準であり,病態に迫る生物学的知見がほとんど含まれていないという批判を受け続けてきた。そのような課題を克服するべくDSM-5は集積された臨床論文に基づいて,症候論から病因・病態論を取り入れようとする試みは常になされているが,現在の精神障害の生物学的研究はその域には達しておらず,一部を除いては成功していない。
将来的には,進歩の著しい脳機能画像,脳生理学,認知機能,遺伝要因などの生物学的知見が,症候学的知見と合わせることにより,より洗練されたDSMになりうるものと思われる。
総編集の神庭亜信教授の意図した「伝統的な精神医学が精神疾患をどのように概念化してきたか,DSMやICDの診断体系にどのような影響を与えたのか,DSM-5では何が変わり,何が変わらなかったのか,それはどうしてなのか」等々の課題に関して各筆者が現時点での到達点を記述しており比較的短い期間に読み込み,考察した結果に敬意を表したい。わが国の臨床でのDSM-5の使用経験の積み重ねが更なる発展に結びつくことを期待したい。
なおその使用に関しては,DSMの持つ功罪を吟味し,可能性やその限界については常に念頭に置く謙虚で慎重な態度が望まれる。
DSM-5の活用者が十分な精神病理学を身につけ,患者の呈する症状を懇切丁寧に分析し,適切な診断治療に結びつける素養を涵養することが何より重要といえよう。

ベスト・プラクティス コレクション がん化学療法ケアガイド 改訂版

ベスト・プラクティス コレクション がん化学療法ケアガイド 改訂版 published on

がん化学療法に携わる看護師必読の書

ベストナース 2012年5月号「看護の日・看護週間特集 PART2 特番!ブックレビュー」より

「がん化学療法ケアガイド 改訂版」は、化学療法看護に必要な知識やケアをまとめて好評を博した初版から5年、最新の薬剤やレジメン、それを受けた標準治療の情報を盛り込んだ改訂版。副作用対策やセルフケア支援の内容もバージョンアップし、曝露・副作用対策、外来看護に資する新たな項目を収めています。がん化学療法に携わる看護師必読の書です。

がん化学療法看護ポケットナビ

がん化学療法看護ポケットナビ published on

患者の内なる力をよび起こし,セルフケア能力を賦活させ,患者と一緒に療養生活をマネジメントしようとする姿勢が基本にある

がん看護 Vol.17, No.3(2012年3-4月増大号) BOOKより

評者:内布敦子(兵庫県立大学看護学部)

がん化学療法に携わる看護師の数は,近年飛躍的に増えている.がん化学療法看護認定看護師は844人(2011年12月現在)におよび,がん看護専門看護師のなかにも本書の編集者である本山清美氏,遠藤久美氏のように化学療法をサブスペシャリティにする人が増えている.忙しい外来で流れ作業のようになってしまいがちな患者への対応を,質の高い看護ケアにするためには,充実した知識,徹底した患者中心の考え方が重要である.

本書は形状といい題名といい,いわゆる簡便なマニュアル本のような印象を受けるが,内容は決してそのような単純なものではない.患者の内なる力をよび起こし,セルフケア能力を賦活させ,患者と一緒に療養生活をマネジメントしようとする姿勢が基本にある.これは本書第3章に書かれており,じっくり腰を据え読み込むべき内容である.

有害事象の管理は,看護師がもっとも責任をもって取り組むべき課題である.有害事象は患者のQOLを著しく低下させ,治療完遂率を左右する.看護師のもつ正確な知識,モニタリングの能力,適切な対応能力によって患者の生活は大きく変わる.看護師が患者の力を引き出しながら,上手にマネジメントするために最低限必要な知識が本書には詰まっている.とくに,ありがたいのは分子標的治療薬や経口抗がん薬の治療に伴う看護の知識が充実している点である.ほとんどの治療が外来で行われ,医療者の目は届かなくなるため,患者のもつセルフケア能力をいかに活用するかは治療成功の秘訣となるであろう.

各疾患の説明はポイントをおさえながら簡潔に書かれ,治療レジメンなどの最新情報が盛り込まれている.エビデンスが確認され,新しく導入される治療法が加われば常に情報を新たにする必要があるので,編集者泣かせの本であることは間違いないが,引き続き更新作業を入念に行い,価値ある本であり続けていただきたい.


複雑化する治療や副作用を簡潔に解説

Expert Nurse Vol.28, No.2(February 2012) BOOKレビューより

看護の流れをアルゴリズムで導くシリーズの最新刊。進歩を続け、複雑化しているがん化学療法。本書では看護師が得ておきたい最新知識をコンパクトにわかりやすくまとめている。家族支援のポイントや他職種の役割など,相談や連携をとるときに役立つ内容も含まれている。

緩和ケアが主体となる時期のがんのリハビリテーション

緩和ケアが主体となる時期のがんのリハビリテーション published on

明日からの臨床にきっと役立つ1冊

作業療法ジャーナル Vol.47 No.12(2013年11月号) 書評より

書評者:目良幸子(東名古屋病院附属リハビリテーション学院,作業療法士)

がんは日本での死亡原因の1位を占め,男性の2人に1人,女性の3人に1人が生涯でがんを経験するといわれる現代はまさにがんの時代です.しかし作業療法の対象疾患としてがんが注目されるようになったのは,2007年(平成19年)に「がん対策基本法」が施行され,2010年(平成22年)の診療報酬改定で「がん患者リハビリテーション料」が認められてからです.
また「緩和ケア」とはWHOの定義によると「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して.痛みやその他の身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題を早期に発見し,的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって,苦しみを予防し,和らげることで,クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである」とされています(本文より).この「緩和ケア」という言葉,本当に味わい深く,リハの理念にも通じる概念ですが,残念ながら今まではあまり作業療法の世界になじみのない言葉でした.
このようにがんといい,緩和ケアといい,「身近なようでよく知らない,学校でもしっかり学んだことがなかった」言葉に対して私たちは漠然と苦手意識をもってしまい,敬遠しがちです.特にがんが進行し.さまざまな終末期症状が出現して,対象者自身やご家族が心身ともに苦しいと感じられる時期になると,どのように接したらよいのかさえわからないと立ちすくんでしまいます.でも実際は「脳血管障害」や「リウマチ」の作業療法を実践するために必要な基礎知識があるのと同じように,がんや緩和ケアについてもこの領域でよく使われる用語や症状への対応について知っていれば.リハの流れや作業療法の内容は特殊なものではありません.
とはいえ,がん関連の専門書籍には,OTが手に取って利用しやすい本はまだあまり多くありません.そのような状況で「いやいや,OTにも十分に活用していただけますよ!」と思わせる本がこの『緩和ケアが主体となる時期のがんのリハビリテーション』です.がんの作業療法の領域で大活躍中の島﨑寛将氏を中心に編集されて,がんのリハビリテーションについて初心者にも読みやすくまとまっています.特に第4章「家族ケアとしてのリハビリテーション」や第5章「がんのリハビリテーションで用いるコミュニケーション・スキル」,第7章「おわりに―自分自身のためのストレスマネジメント」の項目等は立ちすくんでしまいそうなときに読んでみてください.「ああ,そうなのか」という具体的なアドバイスが手に入ります.がんや緩和ケアに興味はあるけれど自信がないという方.ぜひ手にとってご覧ください.明日からの臨床にきっと役立つ1冊です.


緩和ケアが主体となる時期のがんのリハビリテーションを学習するのに好適な入門書

がん看護 Vol.18 No.6(2013年10-11月号) BOOKより

書評者:木澤義之(神戸大学大学院医学研究科先端緩和医療学分野/特命教授)

本書は,進行期のがん患者さんに対するリハビリテーションに関する実践的な本です.がんリハビリテーションというと,周術期や骨髄移植患者さんの社会復帰をめざした介入に関する手引書は今までもみられましたが,緩和ケアが主体となる時期,終末期に焦点を当てた本はほかに類を見ません.リハビリテーションには機能訓練や筋力増強の印象も強いかもしれませんが,そもそもは「再び適した(=自分らしい)状態になること」であり,この時期の患者さんに向き合う1つのキーワードともいえるでしょう.
この本には,治癒がむずかしく,生命の危機に直面した患者さんとそのご家族をリハビリテーションの視点からどう支えるかについて,理念から実際まで,コミュニケーションから専門的なスキル,地域連携にいたるまで詳しく書かれています.また,バーンアウトしないための医療者自身のストレスマネジメントにも言及されています.執筆者を拝見いたしますと,実際に緩和ケアの現場で患者さんの診療・ケアにあたっている方々が担当しており,まさにかゆいところに手が届き,かつ簡潔な内容となっています.
進行期のがん患者さんは,日常の生活や自由に行動できる範囲が徐々に狭くなり,喪失を繰り返していきます.そのような環境でも,しなやかに,たおやかに生きることを支援し,自律とコントロール感を多職腫チームで支えていくことこそ,本書の根底に流れる思想であることを一読して感じました.
リハビリテーション専門職だけではなく,あらゆる医療者,とりわけ,がん医療や緩和ケアに携わる看護師にとって,緩和ケアが主体となる時期のがんのリハビリテーションを学習するのに好適な入門書であるということができると思います.この本の読者によって,緩和ケアにおけるリハビリテーションがさらに普及し.少しでも患者さんのしなやかな生を支えることができれば,と考えています.

ガイダンス 子ども療養支援

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子どもの医療と療育にかかわる者の必読書

チャイルドヘルス Vol.18 No.1(2015年1月号) 書評より

書評者:仁志田博司(東京女子医科大学名誉教授)

これまでの診断と治療がほとんどであった医療の世界に,患者のamenityの重要性が認識されたのは,ごく近年になってからである。筆者がかかわっている新生児医療においても,物言わぬ赤ちゃんが実はたくさんのシグナルを養育者に発信しており,それに耳を傾け答える看護と医療の提供が,児の発育発達に大きな意味があることが学問的にも明らかにされ,それに基づいたdevelopmental careが取り入れられようになった。
本書は,同様にこれまでの小児医療の現場においてともすると忘れられがちであった「子どもの心」に目を向けた養育にかかわる種々の職種の役割と,その意味を網羅したわが国最初のスタンダードとなる書である。創生期であるところから,諸外国で制度化された耳新しいChild Life SpecialistやHospital Play Specialistの名称が混在していたが。その重要性を読み取ってわが国独自で「子ども療養支援士(Child Care Staff : CCS)」を養成し,認定する組織を立ち上げた先駆者の慧眼に敬意を表する。
また本書では,CCSとその業務においてオーバーラップし,擦り合わせが不可欠な多くの職種(医療保育士,臨床心理士,クリニクラウン・おもちゃコンサルタント・プレイリーダーなどのボランティア)の役割と協力体制にも言及している。さらにCCSはその歴史が浅いところから,医師や看護師の理解が不十分でその機能が十分に発揮できていない現状にも触れているが,本書のコラム「病棟文化に変化を起こそう」に見るごとく,CCSは新しい時代に必然であり,子どもの医療にかかわる施設の責任者は,その理念と重要性を理解し,CCSの活動に関連する上記職種の有機的な統合のシステム構築を図ることが必要となろう。
最後になるが,本書の副題「医療を受ける子どもの権利を守る」にあるごとく,子どもの医療の現場では“最も助けを必要とする子ども”にかかわる私たちがその声を代弁することが求められている。これはエレン・ケイが夢見ていた21世紀こそ「子どもの世紀」を体現することといえよう。本書は,まさにそのためのガイドブックであり,子どもの医療と療育にかかわる者の必読書といえよう。


専門知識と技術を解説 子ども本来の力を再認識

教育医事新聞 2015年(平成27年)1月25日

子どもの視点に立って子どもの心の育ちを視野に入れた小児医療の重要性が注目されるなか、医療を受ける子どもたちの発達や成長を支える療養支援の専門知識と技術をわかりやすく解説した「ガイダンス 子ども療養支援 医療を受ける子どもの権利を守る」(3500円+税、中山書店)が出版された。
本書では日本でも浸透しつつある、医療を受ける子どもの心理的・社会的支援を行う専門職とその役割を解説。医療における子どもの権利の具体的内容や子ども療養支援士等のいる総合病院の取り組みなどを紹介しながら、遊びやプレパレーションを通じた実践など子どもの発達段階に応じた具体的な療養支援の理論と方法を示している。
編集者の田中恭子・順天堂大学医学部准教授は「小さくても子どもには子どもなりに考える力も目標を達成しようという力もあります。これまでの小児医療の現場では、病気や治療のことは分からないだろうという大人の思い込みで子ども自身の力を最初から枠にはめていたことがないでしょうか。医療関係者だけでなく親御さんや教育関係者にも本書を読んでいただき、子ども自身の持つ本来の力を再認識すると共に、医療を受ける子ども自身の権利について、それぞれの立場で具体的に出来ることは何であるのか、考えることのきっかけにしてもらえたらと思います」と話している。


子どものしなやかな力を育み伸ばす

メディカル朝日 2014年10月号 BOOKS PICKUP

子どもなりの理解であっても、病気や障害を理解して回復に向かう力(レジリエンス)を持たせることが、治療において重要だという。医療を受ける子どもを保護の客体ではなく、医療の主体的参加者として捉え、子どもの人権を踏まえながらレジリエンスを尊重した対応を行うために必要な考え方と方法論を解説した。小児医療従事者にとどまらず、広く医療に関わる人に。

朝日新聞出版より転載承諾済み(承諾番号23-2330)
朝日新聞出版に無断で転載することを禁止します

嚥下食をおいしくする101のソース

嚥下食をおいしくする101のソース published on

食欲をそそる盛り付け例とレシピが満載

ベストナース、2010年11月号 「必見! 2010年秋のお薦め図書総覧」より抜粋

食材が限られるために同じような味付けでワンパターンに陥りやすい嚥下食。「嚥下食をおいしくする101のソース」は、嚥下食に豊富な味のバリエーションを生み出すソースのレシピを紹介しています。食欲をそそる盛り付け例とともに、和風・洋風・中華風からデザートに至るまでの様々なソースと、おかゆ・漬物や、市販の素材から作る嚥下食レシピも掲載。材料・作り方・アドバイスとともにエネルギーや塩分などの情報も記しています。


ケア 2010年11月号 Care informationより

和風・洋風・中華風,さまざまなソースを提案

中山書店から「嚥下食をおいしくする101のソース」(監修/近藤国嗣・編集/東京湾岸リハビリテーション病院栄養科)が好評発売中。

同書は、東京湾岸リハビリテーション病院の院長を務める近藤国嗣氏が、摂食・嚥下障害を有する人が家族と共に豊かな食生活を楽しむための一助となるようにと監修したもの。

食材が限定され、同じような味になりがちな嚥下食をおいしくするためのソースを紹介。「同じ食材でもソースによって味のバリエーションを増やし、食を楽しむことができる」という考え方を基本に、和風・洋風・中華風から、おかゆ、漬物、デザートに至るまで、嚥下食用に工夫されたさまざまな味のソースを百一種類提案する。プロの栄養士はもちろんのこと、一般家庭でも取り入れやすい内容となっている。定価二千八百三十五円。

ヴィジュアル糖尿病臨床のすべて 糖尿病治療薬の最前線

ヴィジュアル糖尿病臨床のすべて 糖尿病治療薬の最前線 published on

治療薬を基礎から学び即戦力に

メディカル朝日 2012年6月号 p.86 BOOKS PICKUPより

日進月歩の糖尿病治療薬(インスリン製剤を除く)の臨床を最新のエビデンスとともに解説したテキスト。投与法の基本を概説した後、各剤の作用機序と病態から見る選択法、具体的臨床応用法と注意点、そして処方の実際を詳説。単に血糖値を下げるだけではなく、複雑な代謝ネットワークによる様々な病態を把握して、個々の患者に適切な薬を処方する方法へと導く。

朝日新聞出版より転載承諾済み(承諾番号24-1461)
朝日新聞出版に無断で転載することを禁止します

ヴィジュアル糖尿病臨床のすべて スマートな糖尿病診断と治療の進め方

ヴィジュアル糖尿病臨床のすべて スマートな糖尿病診断と治療の進め方 published on

糖尿病学の急速な進歩を通覧するのに適している

「垂井清一郎:Book Review スマートな糖尿病診断と治療の進め方,内科109(2), p.360, 2012」より許諾を得て転載

評者:垂井清一郎(大阪大学名誉教授)

シリーズ全10巻(中山書店)は,今回の『スマートな糖尿病診断と治療の進め方』まで,すでに3冊が刊行されたことになるが,全体の企画・編集にこまやかな工夫が施されており,読者を惹きつけるに違いない.

「糖尿病学」は,さまざまな分野の知識を包含する広い医学の領域であるが,今回のシリーズでは必ずしも網羅的なスタイルをとらず,ことに大切で,最近注目されているところに次々にスポットをあて,併せてその周辺領域も取り上げるというかたちをとっている.目を通していくと,自ら最新の知見にも触れることになるように配慮されている.平素,糖尿病の患者を少なからず扱っておられる医家の方々も,近年における急速な進歩を通覧するのに適しているであろう.

このシリーズでは,トピックス欄やコラム欄が,ある自由さをもって重要なポイントに配置されており,突っ込んだ知見も提供されるよう工夫がなされている.たとえば,本書『スマートな糖尿病診断と治療の進め方』における「HbA1cの国際標準化」などの記述は,HbA1cの数字の奥にある本質を理解するうえで,格好の読みものであろう.

また,シリーズ既刊の『最新インスリン療法』の巻に示された「インスリン自己注射治療における皮膚をつまむことの大切さ,注射後の保持時間への注意」などは,心遣いの行き届いたユニークな記載であろう.さらに『糖尿病合併症―鑑別ポイントとベスト管理法』の巻に収載の「α-リポ酸によるインスリン自己免疫症候群(IAS)」などの項目は,IASが本邦で発見された病態であることを考慮しても重要なポイントであり,おそらく他書にはいまだ十分には記載されていない内容と思われる.

今後のこのシリーズの展開に期待したい.

ヴィジュアル糖尿病臨床のすべて 最新インスリン療法

ヴィジュアル糖尿病臨床のすべて 最新インスリン療法 published on

どこから読んでも面白い 最先端情報と実臨床の知恵が凝集

糖尿病診療マスター Vol.9 No.6(2011年11月号) New Booksより

評者:大西由希子(朝日生命成人病研究所 糖尿病代謝科 治験部長)

この本を最初に手にしたときに思った.「研修医のときにこの本が手元にほしかった!」そして,ぱらぱらとページをめくりながら感じた.「糖尿病臨床の現場で困ったときや研修医を指導するときにこういう本があると助かる!」じっくり読んでみると「糖尿病専門医の自分にとても役立つありがたい本だ!」と内容のレベルが高く充実していることを知った.

図表を使ってビジュアルに理解をしやすい構成になっており,ポイントが箇条書きでまとまっているため,どこから読んでも読みやすく面白い.理論にとどまらず,実践の場において出くわすさまざまな問題にも対処できるよう,最先端情報と実臨床の知恵が凝集されている.

第1章「インスリン治療の基本」ではインスリンの生理的生合成と作用機序,インスリンの分泌と抵抗性の評価についての記載ののち,インスリン製剤の歴史やインスリンの体内動態,インスリン投与量についての理論が紹介されている.さらにはインスリン製剤の種類と特性が述べられ,体内におけるインスリンの役割とインスリン治療の概要の基礎的理解が深まる.

第2章「2型糖尿病のインスリン治療」の「インスリン自己注射治療」では,手技や理論にとどまらず患者心理をふまえたうえで実臨床に役立つ国内外の大規模調査をわかりやすい図やグラフを用いて示し,エキスパートの糖尿病専門医の経験も盛り込まれている.低血糖やシックデイなど,インスリン治療を行う際に絶対に忘れてはならない注意事項の病態の理解と治療の実践にも役立つ.「外来インスリン導入例」ではさまざまな場合の具体的な症例が多数示され,インスリン導入を習得する医師のためにとても良いガイダンスになるだろう.「病棟でのインスリン治療」では糖尿病昏睡,糖尿病合併妊娠,ステロイド糖尿病,手術前後の血糖管理,肝硬変・肝疾患,腎不全・透析患者など頻度は多くなくとも重要である特殊な状況におけるインスリン治療についての解説がされている.MAT療法など新しい概念での治療法についての紹介も興味深い.「インスリン治療がしばしば難渋するケース」ではインスリンアレルギー,皮下硬結,インスリン抗体などインスリン治療に伴い遭遇する問題について扱い,また高齢者,認知症,精神疾患,高度肥満などインスリン治療を困難にする状態のインスリン治療についても解説する.

第3章「1型糖尿病のインスリン治療」では用量設定の考え方に始まり,若年患者に対する指導のポイントやカーボカウント,インスリンポンプなどについて解説し,膵臓・膵島移植についての最新の話題にもふれている.

これから糖尿病臨床を学ぶ初期研修医,糖尿病専門医を志す内科医師,血糖コントロールが難しい症例に出合って困っている糖尿病専門医,あるいは糖尿病を専門としないが糖尿病患者を診療する医師……さまざまな読者層に対してそれぞれの立場に役立つ情報が満載の本だ.

運動器スペシャリストのための整形外科外来診療の実際

運動器スペシャリストのための整形外科外来診療の実際 published on

整形外科医のみならず,理学療法士・作業療法士や看護師など運動器に関わるメディカルスタッフにとっても必須の書

Orthopaedics Vol.27 No.12(2014年11月号) BookReview

書評者:帖佐悦男(宮崎大学医学部整形外科)

2007年,日本整形外科学会がロコモティブシンドローム(ロコモ;運動器症候群)を提唱してから,運動器の重要性やロコモ予防の大切さが国民に少しずつ広まってきている.そのロコモ対策の一翼を担っている日本臨床整形外科学会は一般社団法人化され,NPO法人全国ストップ・ザ・ロコモ協議会(SLOC)を立ち上げるなど,これまでにもましてロコモ対策に取り組んでいる.現在ロコモの対象者は予備軍も含めると全国に約4700万人いると推定され,そのうち,運動器の障害が原因と思われる患者は,最寄りの整形外科を受診することとなる.「医学」は,もともと診断・治療が中心であったが,ロコモティブシンドロームが提唱されたのを契機に予防医学にも重点が置かれ始めている.
そうしたなか,このほど運動器を扱うスペシャリストのための必須の書として『整形外科 外来診療の実際』が発刊された.本書は,臨床の第一線で活躍されている先生が,個々の経験やエビデンスに基づき,最新の知見を交えて執筆されている.また,保存療法や予防的介入を中心に,すでに開業されている先生のみならず新規に開業される先生や若手医師にとって必要な診療の基本的知識や実際の診療でのコツ・極意や患者指導,さらに必要書類作成のポイントを盛り込むなど,臨床家の立場に立って編集されている.
この本では,整形外科外来診療にあたり必須の内容をわかりやすく10章に分け系統立てて記述してある.第1章では運動器疾患の診察に必要な極意のみならず,診療上大切な子どもの疼痛性疾患の鑑別や2016年度から実施予定の学童期運動器検診についても取り上げられている.この章を読むことで運動器疾患の診察法をマスターすることが可能である.
第2章では成長期の子どもたちや高齢者の診療上必要な運動器疾患の評価法のみならず,患者立脚型評価,ロコチェック,見逃すと後遺症を残しやすい子どものスポーツ肘,関節リウマチの評価法まで網羅され,各々の部位でポイントとなる評価法,最新のMRI画像や関節鏡写真などが満載されている.
第3章「検査・診断のコツ」では,検査診断の進め方と鑑別のポイントに加え,実際の現場でよく遭遇する疾患の検査・診断法が記載されており,すぐに役立つ内容となっている.
第4章「保存療法の実際と成功の秘訣」では,保存療法の具体的実施法とともにベテラン臨床整形外科医の保存療法の極意がコンパクトにまとめられている.
第5章「保存療法の限界と手術適応を考えるポイント」では,患者にとって最も大切な「絶好の機会;Windows of opportunity」について代表的疾患ごとにわかりやすく記載されている.保存療法は最も大切な治療法であるが,漫然と保存療法を続けていると早期の社会復帰や治療後の合併症を残す可能性がある.そのためにも手術適応は現場の臨床医にとって重要である.
クリニックでも症例によっては,外来処置や外来小手術が必要不可欠な場合がある.第6章はその時の注意点からコツについて系統立ててまとめてある.
第7章は,現在の医療にとって大切な予防法に関し,臨床整形外科医の立場からすぐに臨床家が実践できるように具体的な介入法の知と技がまとめられている.
第8章は,患者の満足度をより高めるためになすべきこと,また,医療安全の観点から診療で必須の「患者指導・患者対応の心得」を簡潔にまとめてある.
第9章は,診療には避けて通ることのできない書類作成のポイントを実例で示し,初めて書類を作成する医師やベテランの医師にとっても有用な章となっている.
診断・患者説明には,昨今の画像診断の発展も加わり画像を示すことが必須になってきている.しかし,運動器の多くの疾患について精通するのは大変困難である.そこで最終章の第10章では,運動器のすべての分野の画像診断を患者説明の際に活用しやすいようにまとめてある.
本書は,運動器スペシャリストにとって必須となる整形外科外来診療の実際をコンパクトにまとめた診療マニュアルであるとともに,患者への説明や診療にまつわる書類作成の際の参考となるガイドブックとしても利用できる.整形外科医のみならず,理学療法士・作業療法士や看護師など運動器に関わるメディカルスタッフにとっても必須の書としておすすめしたい.