見えない時,描出できない時のもう一歩突っ込んだアドバイスが記載されているのは秀逸

medicina Vol.52 No.5(2015年4月号) 書評より

書評者:林 寛之(福井大学医学部附属病院総合診療部)

 超音波はいまや聴診器より気軽に,正確に使えないといけない必須の武器と言える.将来医者一人に一台持ち歩く時代になるんじゃないかしら?
 超音波がうまくなりたいと切実に願う初学者も多いだろう.小児の虫垂炎だって超音波だけで診断すればいいのに,CTばかりとっているようではダメチンだ.
 超音波の本って世の中たくさんあるが,本書の特筆すべき点は,まず正常像の描出の仕方がきちんと書いてあることだ.病気がわかりやすく目の前にやってくるはずもなく,まずは正常の臓器がどう見えるのか,どうしたら描出できるのかを知らないとまったく役に立たない.初学者はまず正常の超音波検査をたくさんやって,瞬時に目的臓器を描出できるようにならないと,病変をうまく描出できるはずもない.描出のポイント,観察点がきちんと最初にまとまっているので,初学者はまずここを覚えてかかるといい.
 プローブの操作法が細かく記載されているのは,読者に実際に使ってもらうためのコツであり,なかなかかゆいところに手が届いている.「ここでこうやったら見えるよ」的な安直な書き方ではなく,見えない時,描出できない時のもう一歩突っ込んだアドバイスが記載されているのは秀逸であり,当直や救急の現場で使うには実にうれしい.検査手順がわからずにやみくもに超音波を使っているあなた.まずは本書を通読しましょう.
 各論も充実している.単なる検査本ではなく臨床上知っておくべき知識が最初に「検査前に理解しておくポイント」としてまとまっている.続いて検査の進め方が実践的に記載してある.超音波画像の解説も,白黒反転した画像も併載してあり,解剖学的な位置関係がわかりやすくなっている.
 巻末の「サインとアーチファクト」ってなんとなくいい感じ♪超音波をするうえでは知っておくと便利な知識がうまくまとまっている.ちょっとしたウンチクを知っているとうれしいものだ.
 しいてリクエストするとしたら,お腹を出しているモデルがもっと……(○△□※怖くて書けない(-_-)/~~~ピシー!ピシー!)